クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ

ファッション~装いあれこれ~

 東京都現代美術館で開催された「クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ」に行ってきました。

 「クリスチャン・ディオール」は、同名のフランス人デザイナーであるクリスチャン・ディオール氏が創立したブランドです。あまりファッションに関心がないという人でも、名前くらいは聞いたことはあるであろう有名メゾンです。が、ブランドの名前は知っていても、デザイナーについてはよく知らない、という人も多いでしょう。今回の展示は、ディオール氏の人となりや人生にも、焦点があてられた内容となっています。

 私自身も、大学で服飾を専攻するまでは、あまりブランドとデザイナーの関係性についてよく理解していませんでした。しかし、ブランドの歴史、デザイナーの人生や人物像を学んでいくにつれ、なぜ多くの人が有名メゾンの作品に魅了されるのかが、わかるようになってきました。

※1.ディオール
1947年春夏オートクチュールコレクション
© Associations Willy Maywald ADAGP, 2020

 第二次世界大戦終結間もない1947年、彼の発表した女性らしいエレガントなシルエットは「ニュールック※1」と呼ばれ、ディオールは一躍ファッション界の寵児となります。有名な「ニュールック」の写真でモデルが着ている「バー・スーツ」も実際に展示されていました。

360度ぐるりと眺められる展示になっているので、
なかなか見る機会のない背面からのシルエットも
見られて本当に感動!

 もちろん、すでにクリスチャン・ディオール氏本人は亡くなっているので、彼のあとを引きついだ歴代の主任デザイナーたちの作品もたくさん展示されています。メゾンに受け継がれるディオール氏の理念を踏襲しながらも、新しいエッセンスを加えて生み出された作品は本当に見事です(個人的にはジョン・ガリアーノ氏がいた時期の作品が好きですが、ガリアーノ氏のデザインは“ディオールブランド”として見るには賛否が分かれるかも…)。
 こうして歴代の主任デザイナーたちに”ディオール”というブランドが脈々と引き継がれてきたのは、彼らのセンスが卓越したものであったことに加え、ディオール氏が残した明確な理念があったからでしょう。

 “ブランドを作る”というのは、屋号を決めて作品を並べて終わり、ではないのだと感じさせられます。そのなかにいかに自分自身を込めるか、そこに込められたものこそが“ブランドをブランドたらしめる”のだと思います。

 この展覧会の内容については、他にも書きたいことがあるのでおって記事にしていこうと思います。しばし、お付き合いくださいませ。

※1.「【歴史】40年代のファッション – ディオールのニュールック」:FASHION PRESS,https://www.fashion-press.net/news/47112(閲覧日2023年5月17日)

コメント

  1. […]  前回の記事でディオール展について書かせていただきました。 今回の展示で一番見てみたかったのは、トワルの部屋です。トワルとは、ひとことで言うと試作品です。本布にちかい質感の、白無地や生成り色の布で仕立てられます。トワルは本縫製にはいる前段階において、シルエットを確認するために欠かせないものです。ただ、やはり試作品のため、その存在が表にでてくることはほとんどありませんし、服飾にたずさわったことがない人にとっては「トワルって何?」という感じではないでしょうか。 […]

タイトルとURLをコピーしました