さて、前述の「中川衛展 In パナソニック汐留美術館」に続き、今度は六本木の国立新美術館で開催の「テート美術館展 光 」についてです。
今回の展示、半分近い作品が撮影可能となっていたため、会場内ではスマートフォンのシャッター音が飛び交っていました。
SNSで展覧会の感想や情報がシェアされ、ふだんは展覧会に興味を持たない人の目にも触れ、結果関心を持つ人が増えるのだとしたら、こういう取り組みもありかな、と思っています。
ただ、私はあまり撮影可でも、特に絵画作品については撮影することは少ないです。
その理由として、もう本物に勝るものはない!という強烈な体験を過去にしているからなのです。
2008年に、東京国立近代美術館にて、日本画家東山魁夷の生誕100周年記念展覧会が開催されました。
東山魁夷先生は、私にとって本当に本当に憧れの画家であり、その先生の代表作の一つ「残照」が生で見られる!と、それはもうふわふわどきどきで会場に向かったのを覚えています。
実際に目の前にした「残照」は、神々しいの一言でした。
会場の照明を浴び、その光を表面の微細な凹凸に繊細に反射することで、まるで絵そのものが光を放っているようでした。
高揚した気分のまま、図録を買い、家に帰りさてもう一度「残照」を眺めよう!とページをめくったとき、私の心は一瞬とまりました(ほんとうに、思考が停止したように感じました)。
あれ?本当にこれ、あの絵?
それが図録に刷られた絵を見たときに、瞬間的に感じたことです。
良質な紙に、繊細な印刷技術で刷られたはずのその絵の、なんと無機質なことか…。
そのときに、本物を自分の目でみることの意味を体にたたきつけられた気がします。
今回のテート美術館展のテーマは、ずばり“光”です。
本当に美しく、興味深い作品がたくさん来日しています。
私が一番心惹かれたのは、ジョン・ブレットの「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」です。展覧会のHPにも画像がありますが、気になる方は見てくださいね。
ただ、やはりこの作品は生で見る作品なのだろうな…と感じました。
なので、撮影可能作品ではありましたが、写真はとっていません。
こういう経験をすると、展覧会・美術展は、できるだけ多くの都市を回って、主要都市近郊に住んでいない人にも、もっと見る機会を与えてほしいと切に感じます。
写真には写らない美しさがあるって、本当なんです。
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[…] ※1:8月21日「テート美術館展 光 In 国立新美術館」 […]